【注文住宅の収納】すっきり美しく!間取り別アイデア実例集
注文住宅の完成後、住み始めてから「しまった!」となりがちなのが収納です。数だけ多くても、見た目がおしゃれでも、出し入れが不便ならストレスになってしまいます。入る量はもちろんのこと、生活動線を考えた使い勝手の良い収納が住まいの暮らしやすさ、快適さを大きく左右します。
すまいの満足度を格段に上げる方法が、「想像以上に」使い勝手のよい収納をつくることです。入れたいものをきちんとしまえるのが前提で、何を入れようかと想像が膨らむような収納を設けることでさらに満足度が向上します。
このコラムでは、注文住宅の収納計画で失敗しないために、ジェイホームズのコンセプトハウスWHITE CUBESを例に、住まう人の動線を考え、使いやすく収納力の充実したスッキリと美しい「間取り別の収納アイデア」をお伝えします。
目次
収納の基本 注文住宅を建てる前に
これから暮らす住まいの収納はどう考えて計画すれば良いでしょうか?
漠然と「たくさん」「広い」と決めてしまうと失敗の原因になりかねません。ポイントをおさえた収納計画で暮らしやすく、美しい収納で注文住宅を完成させましょう。
なるべく収納スペースは広いほうがいいと思いがちですが、無闇に広くすればいいというものでもありません。収納スペースが広すぎてほかの部屋の間取りに影響してしまっては、せっかくの注文住宅も魅力が半減してしまいます。
使う場所の近くに収納を設ける
収納の基本は、生活動線を基準にして「取り出しやすく、無理なくしまえる」ことです。注文住宅でも同様で、加えて「どこに何をしまうのか」を考えます。
内装や間取りにこだわった美しい注文住宅を、気持ちよく暮らせる住空間にする収納のポイントは、「使う場所の近くに収納を設ける」です。それぞれの場所で、使う物とストックが置けるサイズの収納を配置するだけ。これ一点です。
動線はスムーズになり、出し入れと整理がとても楽になります。
適切なボリュームの造作収納、クローゼットが設計されるよう、これから住まう住宅の収納の条件、要望を具体的な動線や数に置き換えて、設計事務所や工務店に伝えましょう。
収納の広さ
住む期間が長くなれば自然とものは増えることを前提に、「今の収納スペース+α」の広さで収納計画をたてます。
例えば、お仕事の内容、子どもの成長を見越した収納や、趣味のコレクション保管スペースなどを将来的な余裕をみて計画すると良いでしょう。
収納の奥行
意外に失敗の多いのが収納の奥行です。
「広いほうがいい」と奥行を長くとると、奥に置いたものが取り出しづらくなります。
服を収納するクローゼットは肩幅が収まる奥行、テレビやオーディオを設置する収納にはサイズに合った奥行が必要です。
収納の壁面積
壁面を有効に使って「縦の発想」で収納を考えます。物を平面的に置かずに、なるべく縦の空間を使い切るようにします。そうすることで、床に積み重ねたり、奥のものが出しにくい状態を避けられます。
壁面収納は注文住宅でも人気です。
壁一面に収納をデザインすれば、内装と調和した美しい空間を作り出せます。一部を見せたり、扉をつけずに飾り棚を設けてディスプレイにこだわったインテリア収納にしたり、デッドスペースの有効活用にもなります。
収納の数
必要以上に収納の数を増やさず、一か所に集中させず、生活動線に沿った「必要な場所に必要な収納スペース」を設計しましょう。
適材適所、作り過ぎずに適切なボリュームが使いやすい収納です。
収納するもの、収納の方法
今、自分は何をいくつ持っているかリストにしてみると、持ち物全体を把握できます。
- 収納できているもの、片付いていないもの、今後増えるもの
- 数
- 大きさ
- 使う場所・・・リビング、キッチン、寝室、居室、トイレ、洗面脱衣室、玄関など
- 収納方法・・・棚、ユニット収納、収納ケース、扉の形状(引き戸、開き戸、折り戸など)、引き出し、ハンガー
- 収納場所・・・クローゼット、シューズクローゼット、パントリー、階段下収納、ロフト、本棚など
- 照明、コンセントの有無
収納の定位置が決まれば、散らかってしまうことなく、清潔感のある空間がキープできます。
持ち物を整理していくと、何をどこで使ってどこにしまうかがわかり、収納の大きさや量が具体的になります。今ある家具の寸法も計って、新居の間取りにどの程度収まるかもシミュレーションしておきます。
このタイミングで不要なものは断捨離するのもあり。新居で無駄なくスッキリとした生活を始められます。
納戸の使い方
大きな納戸や奥行きのある押入れ、階段下収納を「とりあえず」設けて、周辺の部屋の収納をまとめてしまうことがありますが、次のような注意が必要です。
- 大量のものが納戸に集中して、足の踏み場がないほど物が置かれて、出し入れしづらい
- 使わないものを溜め込みやすい環境をつくってしまう
納戸などの収納室は、壁面を立体的に使える棚を設置すると整理しやすく、出し入れもスムーズです。頻繁に使わないものも、わかりやすく保管できるのも棚のメリットです。
棚の奥行きを抑え、間隔も細かく設けると物を詰め込み過ぎずに使い勝手が良くなります。
ロフト、小屋裏収納の活用
注文住宅の設計においては、小屋裏のスペースを活用して、ロフトや小屋裏収納を設けるアイデアもあります。
法規制により高さや面積の制限はありますが、有効活用したいスペースです。
収納の注意点
注意点としては、造作家具の考え方です。
造作家具の多くは室内に露出するため、やみくもにつくると部屋全体の印象を悪くする場合もあります。
また、造作家具のデザインは非常に繊細で相応のセンスが求められるため、安易に造ってしまうことは避けたほうがよいこともあります。
収納の参考記事
造作収納は注文住宅ならではの魅力です。規格にない長さ、奥行、好みの素材で内装と空間に調和した、間取りにピタッと合う美しい収納が作ることができます。
【実例】注文住宅の収納計画 WHITE CUBESの場合
WHITE CUBESはジェイホームズ代表牧野の自邸兼モデルハウスです。
閑静な街並みに調和したシンプルモダンな外観、次世代省エネ基準をクリアする断熱、気密性能で夏は涼しく、冬温かい快適な空間と、安全性を追及した二世帯住宅です。
完全分離型の二世帯住宅には、親世帯は夫婦、子世帯は夫婦と子供で、実際には3世代が地上2階、地下1階に暮らしています。
快適に暮らすためには収納は必須ですが、大切なのは「収納の多さ」や「収納の面積」以上に「使いやすさ」です。
ジェイホームズのモデルハウスの収納計画で意図したこと
1.用途に合わせて収納を分散させる
住宅の中で、しまっている場所と使う場所が離れていると、取り出すのも収納するのも億劫になります。用途に合わせて、使う場所のいちばん近いところに収納を分散させることがコツです。
2.日常的な動線を想定して収納を造る
例えば納戸が家の中の一番奥に配置されている間取りも多いと思われますが、人があまり行かないところにある収納はあまり使われないと思われます。収納を造るには、できれば日常的に人が通るところに設けたほうが使われますし、利便性も高まります。
3.一時的な避難場所としての収納を造る
家の中の整理整頓の鉄則は「出したらしまう」ですが、すぐにしまいたくないものもあると思います。キッチンやダイニング、リビングなど、ものがたまりそうなところには、「ちょっとしまっておける収納」を一時的な避難場所としての収納を用意しておくと、すっきりと暮らせます。
質と量を満たす収納、暮らしに寄り添う収納
ジェイホームズのモデルハウス「WHITE CUBES」の階別の収納計画は下記です。
では、WHITECUBESの収納がどのようにデザイン、設計されているか間取り別に見てみましょう。
玄関(子世帯) ー たっぷりの収納力!シューズクローゼット
子世帯の玄関です。
床は大判のタイル貼り、正面の壁には石貼りとなってます。
上の画像左側に子世帯全員の靴を収納できるシューズクローゼットがあります。シューズクローゼットの平面によって生活感が抑えられ、玄関はお客様を迎える空間に演出されています。
コートも収納できるスペースもあり、花粉を部屋に持ち込まない花粉症対策にもなるのもメリットですね。他にもシューズクローゼットにはゴルフバッグやベビーカー、子どもの遊び道具も入るなど、家族構成に合わせた便利な使い方ができるのも嬉しい収納です。
シューズクローゼットは、土間続きにして土足でアクセスできる「土間収納」と、靴を脱いでから靴などを収納する「玄関収納」がありますが、この玄関では「玄関収納」を採用しています。
靴を履かなくても、シューズクローゼットの外壁側に設置されたポストに、新聞や郵便物を取りに行ける動線が家族みんなに好評です。
玄関(親世帯) ー 高さで収納力を最大限設ける
親世帯の玄関です。
上の画像右側に玄関収納があります。親世帯の靴、外出時に必要なものが収納されています。
玄関収納に必要な収納力は、普通の形の靴を何足収納できるかだけでは計れません。サイズの大きな靴や、ブーツや長靴のような高さのある靴も収納できて初めて満足度の高い玄関収納になります。
新築で玄関収納を用意するのであれば、家族ごとに靴を分けて収納できるようにしたり、ブーツや長靴など高さのある靴をきれいに収納したりできるスペースを用意することが大事です。
玄関の空間を、収納としてだけではなく、収納上部から外光を柔らかく取り込み、収納下部からは間接照明が足元を優しく照らして玄関ホール全体の雰囲気を上品に演出する設計でまとめています。
洗面脱衣室 ー 収納力を重視。デザインも両立。
子世帯の洗面脱衣室です。
洗面脱衣室のとなりには浴室があります。
洗面脱衣室に置くものは多岐にわたります。洗顔、歯磨き、化粧品やブラシといった身支度に必要なもの、リネン類、浴用品の予備や掃除用品、脱衣かご、着替えなど毎日使うものが大半です。
水廻りにはたっぷり収納のスペースを確保できない場合も多いです。一方で収納すべき物の点数は多いので、収納の取り方には工夫が必要です。例えば、洗面化粧台の脇や壁の中など、ちょっとした空間を利用して棚などをつくるアイデアもあります。
WHITECUBESの洗面脱衣室は、これらの十分な収納と使い勝手を考えて設計しました。収納付きの洗面台に加え、サイドキャビネットを設けて、家族の着替えを人数分収納できるスペースを確保しています。一か所に洗面、バスタイムに必要なものが効率よく収まって、他の場所と往復することなく、時短にもなる設計です。
トイレ ー 清掃しやすさも考えた収納
子世帯のトイレです。
トイレはかなり面積が限られたスペースです。どんなに狭いトイレでもトイレットペーパーや清掃用具などの収納は必須です。吊戸棚形式で設ける、壁埋め込み形式で設けるなど、収納の取り方には工夫が必要です。
一方でトイレの収納は清掃しやすさを第一に考える必要もあります。例えば、収納の扉をメラミン化粧板仕上げとすることで、汚れた際に消毒液で拭き取ることができます。
WHITECUBESのトイレでは、手洗いカウンターの下に収納をつくり、コンパクトながら必要な収納量を確保した設計です。トイレットペーパーや清掃用品などトイレに必要な日用品を予備もふくめて収納できます。
床から少し高さを上げた位置に設けた造作収納で床面が清掃しやすく、棚からの取り出しも楽にできます。
リビング ー インテリアとしての収納
子世帯のリビングです。
WHITECUBESのリビングでは、壁の上部に飾り棚を兼ねた壁面収納を設けています。薄いグレーの飾り棚の扉は、間接照明の落ち着いた光や白い壁との対比で、空間にアクセントを与えるインテリアにもなっています。
収納扉の割付けの基本は「そろえる」ことに尽きます。幅をそろえる、高さをそろえる、面をそろえるなど統一することで、すっきりときれいな「魅せる収納」を実現できます。
テレビ周辺機器スペースは、DVDプレーヤーなどがあります。機器自体は薄いものも増えていますので、目立たないようにすることも可能です。ポイントは天板の上下をつなぐケーブル用のスリット(穴)を設けるなどして、コード類の処理を考えた収納とすることです。
WHITECUBESのリビングでは、壁面収納の対面にはAVラックがあります。テレビ以外のAV機器、書籍や映像作品が収納され、配線が見えないよう工夫されています。
キッチン背面のカップボードは収納量がたっぷり
子世帯のキッチンです。
キッチン背面のカップボードは、オーダー家具として造り付けで制作したオリジナルです。
このカップボードは、収納をたっぷり確保できるように計画し、家電から食器まで扉でしっかりと隠せるので、ダイニングやリビングからキッチンをスッキリと見せることができます。
カップボードを造り付けでつくるメリットは、空間に合わせて高さや奥行を選ぶことができるので無駄なスペースが生まれないこと、壁付けタイプになっていますので地震の際に倒れず安心なことなどが挙げられます。
キッチンの作業をイメージしながら、棚や引き出し、扉などを選択することが大切です。
カップボードには、まず食器棚としての機能が求められます。高さや奥行などのサイズ、棚や引き出しなどが揃い、空間スペースはもちろん、手持ちの食器の数や種類に合わせて収納方法を決めることが可能になります。
また、スプーンやフォークなどカトラリーなどの細かい収納もすっきり収納することができます。カップボードを計画する際には、手持ちの食器やカトラリーの数や種類を把握して、どの程度のスペースが必要か、現状の不満点を挙げながら確認することです。
キッチンには、炊飯器、電子レンジ、トースター、湯沸かしポット、コーヒーメーカー、フードプロセッサーなど、多くの家電製品を収納することになります。家電品は排気や熱が出るために引き出して使用できるようにする対応などが求められることもあります。
キッチン廻りの収納を考えるときのポイントは、キッチン内に置くのか、ダイニング近くに置くのか、食事のスタイルや日々の動線を考慮して配置の計画を立てることが大切です。家族みんなが使いやすいかなどにも配慮も必要です。
パントリーは機能的かつ頑丈な棚を準備
パントリーとは、食品や調理器具などを貯蔵するためのスペースのことです。パントリーがあればごちゃごちゃしがちなキッチン周りもスッキリと片付けることができ、調理スペースもきちんと取ることができます。
パントリーは、米や酒、調味料や乾物類など、買い置きの食品や宅配の野菜などのスペースだけでなく、非常時のための水や缶詰なども収納しておくことも考えておきたいものです。
食品の収納は、保存しているものが分かりやすいように奥行は深くせず、低い位置に置くことが基本です。空間によっては、取り出しやすいようにキャスターなどを用いたものを選んでもよいでしょう。
壁面に棚をたくさん取り付ければ、大容量の収納を確保できます。棚を取り付けるときは、あまりに奥行きを取りすぎると物が取りにくくなります。適度な奥行きで横幅の広い棚を取り付けるようにしましょう。
パントリーの棚には重いものを載せることも多いため、造りつけでしっかり重さに耐えられるように頑丈に造っておきましょう。
居室 ー 収納力とデザイン性の両立が鍵
居室(主に寝室)は、簡単な棚であっても、ちょっとした収納を製作するだけで、内観と調和した質の高い空間をつくることができます。
下記の写真は、子世帯の個室です。
机の上に飾り棚を設けています。収納であり、インテリアのアクセントにもなります。コストもあまりかかりませんので、おすすめのアイデアです。
本などの収納スペースとして、大きな棚が必要になることもあります。その場合、必要に応じた幅のある本棚をつくってもよいのですが、あえて「壁一面を本棚」にする発想もあります。収納力が大幅に得られることはもちろん、壁一面の棚はデザイン的にも美しいです。
<参考:ジェイホームズが施工した「デザイン的にも美しい壁一面の棚」の事例はこちら>
まとめ
注文住宅の新築計画で「収納をどうするか?」はオーナー様のこだわり、ライフスタイルを反映させる大切なポイントの一つです。
注文住宅の収納の基本
- 使う場所の近くに計画する
- 取り出しやすく、無理なくしまえる
この二点を守って、生活動線に沿った収納の場所と広さを決めます。
使いやすい収納スペースにするには、ただ単に広ければ良いわけではありません。適切な広さで設計しなくては、スペースの無駄遣いになってしまいます。使い勝手の悪い収納スペースは、自然と使われなくなってしまいます。
実例を参考にしながら、ライフスタイルに合った収納を家全体、暮らし全体で考えてみてください。
収納の実例を見学するには?
完全分離型二世帯住宅のコンセプトハウスWHITE CUBESは、見学会を随時受け付けております。
外観の佇まい、外壁の仕上がりや風合い、採光、高い省エネ性能( UA値:0.45)、家族構成の変化に柔軟に対応できる完全独立型、上下分離型の2世帯住宅を体験できます。
実際にWHITE CUBESで生活し、家族と暮らしている弊社代表牧野へ、収納の使い勝手をはじめ、住み心地や住宅の性能、家づくりの疑問、お悩みを施工を見ながらなんでも直接ご相談いただけます。
収納計画の疑問、お悩みもお気軽にご相談ください。建築家、設計事務所と協働して注文住宅を建てる工務店ならではの、デザインと機能性のバランスがとれた視点でお答えします。
質と量を兼ね備えた収納が、住宅建築のご参考になりましたら幸いです。
WHITE CUBE 概要
所在地 : 神奈川県
物件種別 : 一戸建て住宅
構 造 : RC造+木造軸組構法
間 取 り : 2世帯住宅
■親世帯: 1LDK
■子世帯: 4LDK+Studio+納戸
敷地面積 : 239㎡
延床面積 : 259㎡ (BF:65㎡含む)
家族構成 : 親夫婦+子夫婦+子供2人
竣 工 : 2016年4月
設 計 : 岡部克哉建築設計事務所
LIXILメンバーズコンテスト2016地域最優秀賞受賞
ジェイホームズについて
ジェイホームズは東京都、神奈川県を中心に注文住宅の設計・施工を行っている工務店です。プロからの評価の高い建築家、設計事務所とチームを組み、デザインと機能性、安全性を両立させた「強く、美しい家」を精度の高い施工力で建てています。
注文住宅の施工は全て、実力と実績のある大工、職人たちが行います。
大工の親方は、ジェイホームズの仕事だけを受け持つ専属の親方です。優秀で信頼のおける専属の親方以外に施工を任せることはありません。建物全体を統括する経験豊富な施工管理者と厳格な検査基準、チェック体制が見えないところから施工精度、家の完成度を高めています。
収納においても同様です。
オーナー様との綿密な打合せ、ヒアリングをもとに動線設計、プランニングを行い、オーナー様も我々も納得できる収納のデザイン、広さや方法を根拠をもってご提案しています。
施工の段階では、専属の大工が慎重に納まりを見極めて、設計通りの施工を行い、美しい意匠の実現を細部に渡ってサポートします。
<ジェイホームズへのお問い合わせ>