仕様
不整形な敷地形状を活かした配置計画と
造形美が際立つ外観デザイン
道路に対して斜めの辺を持つ不整形な敷地の特性を捉え、建物の形状も敷地に合わせて多角形に設計しています。これにより、敷地内に無駄なスペース(デッドスペース)が生まれるのを最小限に抑え、限られた面積の中で最大限の面積と居住空間を確保しています。敷地形状に素直に従うことで、効率的かつ合理的な土地利用を実現している点が、この配置計画の大きなポイントです。
- 都市の住宅地に佇む、彫刻のような造形美が際立つ住宅です。道路に対しては窓のないマットな質感の壁で閉ざし、外部からの視線を完全に遮断することで、極めて高いプライバシーを確保しています。その閉鎖的な表情とは対照的に、玄関へと続くアプローチには柔らかな曲線を描く壁が設えられ、間接照明の光が温かく内部へと誘います。
- 直線と曲線の対比、光と影の効果的な演出により、単なる建物ではなくアート作品のような存在感を放ち、内に広がる豊かな空間への期待感を高める、計算された外観デザインが特徴です。


円のモチーフが創り出す中庭が
内外を一体化する中間領域
住宅の中心に、空を円形に切り取る大きな開口を持つ屋根付きの中庭を設けた住宅です。中庭から降り注ぐ光が、床に配された同じ形の芝生の上に影を落とし、時間と共に移ろう詩的な風景を描き出します。中庭はガラスの大開口を介してリビングなどの内部空間と一体化し、内外の境界を繋ぎます。都市にありながら外部の視線を完全に遮断し、プライバシーを守りつつ、家族だけのプライベートな空間で光や空、緑を享受できる、静謐で豊かな空間構成です。
- 中庭から差し込む光は、太陽の動きに合わせて床の上を移動し、円形の芝生と呼応しながら、静的な空間に時間の流れを視覚化します。単なる採光のための開口部ではなく、自然の移ろいを住まいの中に取り込み、日々の暮らしを豊かにするための計算されたデザインです。
- 中庭は、室内でも屋外でもない「中間領域」として機能し、生活に広がりと豊かさをもたらします。屋根に守られた半屋外空間は、天候を気にせず使えるアウトドアリビングとなります。また、壁一面のガラス戸を開け放てば、リビングと中庭は完全に一体化し、圧倒的な開放感が生まれます。
境界を曖昧にする大開口と
奥行きを生む直線的な間取り
中庭に沿って直線的に配置された、明るく開放的なLDKの特徴は、壁一面に連続する床から天井までのガラスの大開口です。プライベートな中庭と室内がシームレスに繋がり、圧倒的な一体感と広がりを生み出しています。都市の住宅でありながら外部からの視線を完全に遮断し、庭からの豊かな光と緑を室内に取り込むことで、プライバシーと開放性を見事に両立させています。温かみのある木の床とモダンな設えが調和した、美しい居住空間です。
- 室内と中庭の床レベルを近づけることで、庭がリビングの延長であるかのような連続性を生み出し、気軽に内外を移動できるような設計になっています。常に光や緑といった自然を身近に感じられ、実際の面積以上の広がりと、心地よい解放感を享受することができます。
- リニアな空間構成により、空間の端から端まで視線が遮られることなく通り、空間全体に繋がりと気持ちの良い奥行きが生まれています。どの場所にいても家族の気配を感じられると同時に、常に中庭の緑を眺めることができる、機能的で快適な平面計画です。


光と影を操る多灯分散の照明計画が演出するLDK
緻密な照明計画によって上質な寛ぎの時間を演出するLDKです。天井のダウンライトやスタンド型の照明が、温かみのある木の床や家具を柔らかく照らし出し、空間に豊かな陰影を生みます。壁一面のガラスは鏡のように室内を映し込み、空間に幻想的な奥行きをプラスします。クールなグレーで統一された壁や建具との対比が、落ち着きと親密さに満ちた空間の質を一層高めています。
- 空間全体を均一に照らすのではなく、必要な場所に光を配置する「多灯分散」方式の照明計画が特徴です。ダイニングテーブルやキッチンを照らすダウンライトと、リビングを優しく灯すフロアランプを組み合わせ、光に濃淡をつけています。
- 日中は外部の自然を取り込む窓として機能したガラスが、夜には黒い鏡となって室内を映し出します。温かい光に照らされた家具や床が映り込むことで、空間に幻想的な奥行きと広がりが生まれます。外部の暗闇と、守られた内部の明るさとの境界を明確にしながら、視覚的な豊かさを加えます。
プライバシーと採光を両立し、
素材の対比でつくる上質な寝室
グレーの壁と天井で統一された、静謐で包み込まれるような寝室です。高い位置に設けられた横長の窓は、プライバシーを守りつつ、安定した光と緑の気配を室内に届けます。温かみのある木の床との対比が、クールな中に居心地の良さを生み出し、廊下の先に続く外部の光が空間の繋がりと奥行きを感じさせます。
- 寝室の窓は、外部からの視線を効果的に遮りながら、室内に安定した明るさをもたらします。窓の外の緑を絵画のように切り取ることで、閉じた空間にありながらも、心地よい自然の気配を感じられるように意図されています。
- 廊下は、壁と一体化した収納扉によって、凹凸のないミニマルな壁面で構成されています。クールで無機質な印象のグレーの壁面と、足元の温かみのある木の床との素材の対比が特徴です。異なる素材感を組み合わせることで、単調さを回避し、落ち着きがありながらも、どこか温かく居心地の良い、上質な空間を生み出すことに成功しています。

施工管理者からのコメント