3階建て住宅のメリットと間取り8選【完成事例】
3階建て住宅というと、比較的狭い土地に建てる住宅のプランニングにおいて「2階建てでは必要なスペースが確保できない理由から、3階建てで設計する」イメージが強いかと思われます。実際に、都市中心部では希望する居住エリアに十分な土地面積がとれないケースも多いため、3階建て以上の住宅が注目されています
3階建て住宅は、間取りやゾーニングで土地面積を最大限有効に使える、土地の購入費用を抑えられるメリットもあるため、3階建てを選択し、住まわれるオーナー様が増加傾向にあります。
このコラムでは都市部で3階建て住宅を建築するメリットを、価格面と、3階建てならではの間取りや設計で紹介します。また、ジェイホームズの3階建て住宅完成事例で、実際の住み心地をリポートします。
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目次
3階建て住宅のコストダウン 3つの方法

土地購入費が抑えられる
都市部の高い土地価格は、利便性の高いエリアに住みたい世帯にとって悩ましい問題です。土地購入費が全体予算の中でかさんでしまうため、敷地面積を当初より狭くして計画を見直すことも少なくありません。また、都心部では、遺産相続などで土地が分割されて、宅地あたりの土地面積が狭くなる傾向にあり、希望する広い土地が見つかりづらいことも狭小地の住宅建築が多くなる一因ともいえます。
しかし、都市部の狭小地こそ、3階建て住宅を建てるメリットをコスト面で最大限実感できます。3階建て住宅に必要な土地面積は用途地域などの条件にもよりますが、2階建て住宅の約1/3ほど少なくすむことが多いため、土地購入費を抑えることができるからです。
例えば、都市中心部に3LDKの間取りの2階建て住宅を、坪単価200万円として、30坪の土地なら6000万円が土地購入費になります。同じ3LDKの間取りを3階建て住宅で計画するなら、20坪の土地で同等の床面積を確保でき、単純計算で4000万円の土地購入費となり、2000万円のコストダウンになります。
割高になる3階建て住宅の建設費をじゅうぶん吸収できるケースもあり、トータルで安くできるかどうかを比較して、検討をすると良いでしょう。
税制面のメリット
固定資産税は累進的な性格があり、土地が狭いほうが納税額は割安になります。新築の中高層耐火建築物(地上階数3以上のもの)で要件に該当するものは、住宅部分について新たに固定資産税が課される年度から5年間、税額は120㎡までの部分の2分の1が軽減されます。
その他にも固定資産税や住宅関係の税負担に軽減措置が設けられていますので、詳しい条件や手続きについては、住宅メーカーや工務店、不動産会社の担当者に問い合わせてみましょう。
建築費を抑えられる3階建て住宅のポイント
注文住宅の工事費は、設計や仕様にも寄りますが、基本的に施工床面積に比例します。コンパクトなサイズの3階建て住宅に設計して施工床面積を抑えれば、工事費を安くできます。
3階建て住宅では、同じ施工床面積の2階建て住宅と比較して、基礎部分の面積が小さくなります。基礎は鉄筋コンクリート造となるため、施工費がかさむ部分ですが、その割合を軽減できます。
3階建て住宅のメリット 間取り8選
3階建て住宅は光や風をうまく取り込める住まいを計画できるメリットが最大の魅力です。都市部の平屋や2階建て住宅では難しい間取りや眺望を実現できる、3階建て住宅の空間設計を紹介します。
スペック以上に広く感じる「一室空間型の間取り」
一室空間型の間取りは、居住空間を紋切り型に区切ってしまわず、ライフスタイルに合わせたゾーニングで広い空間を設けたり、家族で共有できる空間を増やす間取りです。
一室空間型の間取りなら、個室を複数設けず、そのかわり、リビングダイニングを広くして、食事以外の時間もダイニングテーブルで過ごす、というような発想で設計します。
子供が勉強をしたり、親が趣味の作業をするのもリビングダイニングで、という感じです。収納も、各個室に設けるのではなく、家族で共有するのも一室空間型の間取りの一案です。
3階建ての高さを活かす吹き抜けのデザイン
3階建て住宅ならではの、タテにつながる空間を活かせる吹き抜け。
採光と風通しも良好で、気持ちの良い解放感が広がり、暗くなりがちな下の階にも明るい光が届きます。
吹き抜けにしたリビングダイニングの大空間、窓を大きくとった大開口の視界の広さ、降りそそぐ自然光の心地よさは、リラクゼーション効果を一層高めてくれます。
パッシブデザインをベースにした設計やエアコンなどの冷暖房設備を設置することで、季節や上下階の温度差を最小限に抑えることができます。
狭小地でも広く明るいリビング設計
やすらぎの時間を過ごし、家族や友人と集うLDKを生活動線の中心に設けて、明るく使い勝手のよい空間を実現することができます。
上記の写真の住宅では、間取りをスキップフロアの構成として空間のつながりを演出し、ルーフバルコニーと接する大きな窓から、明るい光が差し込みます。
居心地の良いリビングには自然と家族が集まり、団らんの時間が増えることでしょう。
ビルトインガレージで雨でも濡れない動線
3階建て住宅では、1階部分に自動車やバイク、自転車を駐車、保管するビルトインガレージを造って、2・3階部分に居住スペースを設けることもできます。
ガレージから直接住宅にアクセスできれば、雨の日も濡れずに荷物を運び込むことができます。車がない時は、子どもの遊び場所やDIYスペースにも使えます。
自宅から離れた場所に駐車場を契約せずに経済的、家族の急な外出にもスムーズに対応できます。
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3階建て特有の好条件で得られる採光
高さのある3階建ては、2階建てに比べ高い位置に窓を配置でき、眺望が良く、風の通りやすい設計が可能です。
また、比較的密集した住宅地でも、自然光で明るい空間を計画できる可能性が高くなります。
中庭がつくる解放感と、プライバシーが守られている安心感
狭小地の3階建て住宅では、敷地の周りが住宅やビルに囲まれていて思うように窓を配置できなかったり、通りからの見えやすいといった悩みがよくあります。
そんなときは中庭(坪庭、光庭)や天窓が、採光やプライバシーの確保に有効です。
住宅の間取りを考えるときに、間取りの中央付近もしくは数カ所にくびれをつくって中庭として、そこから光や風を取り込むことができます。
3階の屋上、ルーフバルコニーからの眺望
屋上のルーフバルコニー。ルーフテラスともいいます。屋上からの眺望を、楽しむことができます。
アウトドアリビングとして、休日のひと時を過ごしたり、広い夜空を眺めたり、プライベートな時間が流れます。
事務所や共同住宅を併用した3階建て住宅
上記の写真の住宅は、事務所や共同住宅を併設した3階建て住宅です。
階数ごとにゾーニングできるのも3階建てのメリットです。例えば自宅と併設してオフィスを設けることで、生活空間と仕事場が近く、通勤する時間を大幅に短縮できます。共同住宅を計画して、賃料収入を得る活用法もあります。
その他、3階建て住宅は各階の独立性、プライバシーが確保しやすく、二世帯住宅としてのニーズも高いです。
二世帯住宅の間取り3タイプ 満足度を高めるポイントを徹底分析で、二世帯住宅を建てる際に家族で考えておきたいルール、間取りの決め方について紹介しています。
3階建て住宅のデメリットは解消できる?
3階建て住宅は暑い?寒い?温度差への対策
温かい空気は上へ、冷たい空気は下へ溜まるため、エアコンのみの空調では何も対策を施さないと、夏は3階部分が暑く、冬は1階部分が寒くなり、快適とはいえない状態になってしまいがちです。
各階、各部屋にエアコンを設置する方法が一般的ですが、設置費用や光熱費がかさむことになります。
1年を通して暮らしやすい、夏涼しく冬暖かい住まいを実現するには、パッシブデザインをベースとしてのエアコンによる全館冷暖房が主流になっています。エアコンの性能が飛躍的に向上したことにより、最もコストパフォーマンスの高い冷暖房設備となっています。
例えば、住宅全体の断熱・気密を高めて、床下エアコンで主に暖房を、3階(もしくは2階にも)に設けたエアコンを主に冷房に利用することで、住宅全体の温度を快適に保つ設計手法もあります。
階段の上り下りの負担軽減にホームエレベーター
3階建て住宅は、当然ながら2階建てにもう一つ階段が増えます。小さいお子様やご高齢の家族、自身が高齢になったとき、上り下りが負担になることも考えておく必要があります。
ホームエレベーターの設置が、階段のデメリットを解消でき、荷物の運搬にも便利なソリューションです。3階建て住宅や二世帯住宅でホームエレベーターの設置は、プランニングの段階から検討し、設置費用やランニングコストについて住宅メーカーや工務店に確認しておきましょう。
揺れや地震、災害への対策
建物は高くなるほど、揺れやすくなります。3階部分も下階に比べると車や電車の振動、地震の影響を受けやすい場所です。
地震や風水害に強い住宅へのニーズは全国的に高まっています。耐震や免振の工法を採用して耐震性を高める、強い耐候性と耐衝撃性を備え外壁や屋根材など、安全で安心できる居住空間の設計と、快適で上質なデザインの両立が住宅建築には求められます。
耐震性を確保するために有効な工法が「耐震構法SE構法」です。
ジェイホームズはSE構法登録施工店です。SE構法は一般的な工法と異なる施工技術が必要となるため、一定の技術水準を有する「SE構法登録施工店」のみが施工することができます。
強くて豊かな3階建て注文住宅 完成事例
都市部に建築された3階建て注文住宅を2例紹介します。
どちらも外観から間取りまで、施主様の感性やライフスタイルを取り入れたデザインと敷地面積を有効に活用した設計です。
I様邸 東京都品川区
品川区の住宅地に建つ3階建ての住宅です。
白い箱型のシンプルな形状の建物に、2層分の天井高を持つアプローチが印象的な外観デザインです。アプローチ部分のフットライトが、足元を鮮やかに彩ります。
地震による倒壊ゼロの実績をもつ耐震構法SE構法を採用し、柱や壁の少ない大空間を実現できる、自由度の高い空間設計と優れた耐震性を両立しています。
1階から最上階まで階段室兼吹抜けの大空間で感じる視界の広がり、自然光の優しさは日々の暮らしを上質に演出しています。階段室、階段のガラス手摺の受けを可能な限り少なく見せたいという施主様からのご要望を実現しました。
ホームエレベーターを設置して、上下の移動や荷物の運び入れもスムーズに。
この施工事例の詳細は下記リンクをご参照ください。
M様邸 神奈川県横浜市
横浜市の大きな公園と道路をはさんで接する敷地に建つ3階建ての住宅です。
公園の緑を借景にできる開口部を設け、坪庭やバスコートを設けるなど、緑を楽しめる住宅を実現しています。ルーフバルコニーを数箇所に設けて、多目的に利用できる屋外空間となっています。
また、ビルトインガレージ部分の天井を低くして1階部分の階高を抑えることで、上階に天井の高い空間を設計しました。
玄関脇のビルトインガレージは、屋内からの動線が短く、雨の日の出入りのしやすい間取りです。
耐震構法SE構法で吹き抜けの大空間、大開口も耐震性を確保しながら安全に、自由度の高い設計できます。
間取りの一部をコの字型にデザインして坪庭を設けました。坪庭の道路側には縦方向の木製ルーバーを設けてプライバシーを守りつつ、ルーバー間の隙間から光や風が柔らかく降りそそぎます。
この施工事例の詳細は下記リンクをご参照ください。
3階建て住宅 まとめ
広々としたゆとりを感じる暮らし、家族とのつながり、温もりを感じる暮らしを3階建て住宅は実現できます。まとめるとポイントは下記です。
- 都市部で建てる3階建て住宅は、必要な土地の面積を減らすことができる土地購入費用や建築費が抑えられる
- 日照条件など住環境が良くなる利点もある
- 個室を複数設けると居住空間が狭くなってしまうため、「一室空間型の間取り」は3階建てを有効に活用できる方法
- 狭小地でも間取りを工夫して、3階建て住宅を強く、豊かに、快適に建てることができる
スペースの限られた居住空間ながらも、間取りや収納が工夫された設計や、利便性の高い都市部に住んでいるメリットとのトレードオフで充実感を持てる住まいにできます。
また、不要なものを極力持たないライフスタイルで、家の中をすっきりしておくのも、コンパクトな家に心地よく住まうコツです。
ジェイホームズの3階建て注文住宅
ジェイホームズの3階建て注文住宅は、耐震構法SE構法による耐震性の高い構造躯体の採用、明るく風通しの良いリビングや、ビルトインガレージ、ルーフバルコニーなど、高い住宅性能と良質なデザインを両立した「美しくて強い住まい」を、土地の形状や面積を充分に考慮した、プランニング・施工を得意としております。
都心では3層に分けて考えてしまうと立地条件によっては、1階が暗くなってしまいます。広さや開放感を感じられる空間を実現するための設計のアイデアが重要です。例えば壁に囲われた中庭を設けると、明るさとプライバシーを両立させたデザイン住宅が実現します。オープン階段を設けるなどして、より縦の開放感を演出することができます。
3階建て住宅の建築に伴う建ぺい率、容積率、斜線制限、日照規制などの法規制にも、土地や環境など立地条件をもとに一つ一つクリアにしながら、最適なプランをご提案します。
ジェイホームズでは東京都、神奈川県を中心に、3階建て住宅の設計・施工実績が豊富にございます。お気軽にご相談ください。